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大阪高等裁判所 昭和39年(ネ)1259号 判決

控訴人

山本健三

代理人

小田成就

被控訴人

株式会社三栄相互銀行

代理人

浅井稔

川田祐幸

主文

原判決を取り消す。

被控訴銀行の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴銀行の負担とする。

事実《省略》

理由

一主債務の成立について。

先づ、本件の主債務者である訴外東賢治(原審相被告)と債権者である被控訴銀行との間に被控訴銀行主張の本件主債務が成立したかどうかについて判断するに、〈証拠〉を総合すると、訴外東賢治は被控訴銀行との間に

(一)  昭和二九年二月三日手形取引契約を締結し、被控訴銀行に対し同日附手形取引約定書(甲第一号証、同第一八号証の一、二、三)および同年三月八日付の手形割引約定書(甲第一八号証の四)を差入れ、みぎ契約に基づいて、同年九月二一日弁済期限同年一一月一八日の約定で被控訴銀行から金一六〇万円を借り受け、内金九九万五、〇〇〇円を今に至るも弁済しないこと、

(二)  同年五月一四日相互掛金契約を締結し、同日被控訴銀行に対して相互掛金契約による債務(給付金)弁済契約に関する公正証書作成の委任状(甲第四号証、同第一六号証の一、二、三)を差入れ、みぎ契約に基づいて、同日被控訴銀行から弁済方法同年六月から昭和三二年四月まで毎月一〇日限り金三、四六〇円宛持参払の約定で金一二一、一〇〇円を借り受け、内金五万八、八二〇円を今に至るも弁済しないこと、

(三)  昭和二九年九月二〇日相互掛金契約を締結し、同日被控訴銀行に対し、前記(二)の場合と同様の委任状(甲第五号証同第一七号証)を差入れ、みぎ契約に基づいて、同日被控訴銀行から弁済方法同年一〇月から昭和三二年五月まで毎月一〇日限り金五万一、九〇〇円宛持参支払う旨の約定で金一六六万〇、八〇〇円を借り受け、内金一一〇万七、二〇〇円を今に至るも弁済しないこと

を認めることができ、みぎ認定に反する証拠はない。

二控訴人の被控訴銀行に対する連帯保証債務の成立について。

(一)  事実関係の証定。

〈証拠〉を総合するとつぎの事実を認定することができる。

(1)  訴外東賢治は本件主債務成立当時奈良県山辺郡都介野村に居住し、同県天理市中でトラック運送事業を営んでいた者で、控訴人はみぎ訴外東の実弟で山本家に養子として入籍し、大阪市南区瓦屋町に居住し、近畿交通株式会社に勤務していた者であつて、本件の各契約以外には、被控訴銀行との間に、自分自身でもまた訴外東を通じても、かつて取引をしたことがないこと。

(2)  訴外東賢治が被控訴銀行との間に前認定の各主債務を負担する各契約を締結した際に、みぎ各契約に関し訴外東が被控訴銀行に差入れた各契約中には、

(イ) 昭和二九年二月三日付の手形取引約定書(甲第一号証、同第一八号証の一、二、三)および同年三月八日付手形割引約定書(甲第一八号証の四)には、手形取引により訴外東賢治が被控訴銀行に対して負担することあるべき債務につき控訴人がその履行の責に任ずべき旨が記載され、その末尾の連帯保証人欄には控訴人の住所、氏名を記載し、その名下に、控訴人名義の印鑑証明書に押捺されている印影と同一の印影が押捺されており、

(ロ) 同年五月一四日および同年九月二〇日付の各委任状(甲第四号証同第一六号証の一、二、三、同第五号証、第一七号証)には、各相互掛金契約により訴外東が被控訴銀行に負担する債務について控訴人がそれぞれその履行の責に任ずべき旨およびみぎ債務履行契約について訴外藤田晋に対し公正証書作成方を委任する旨が記載され、その各末尾に控訴人の住所氏名が記載され、その名下に、前同様の印影が押捺されていること(但し、甲第五号証同第一七号証に印鑑証明書が添付されていた証拠はない。)、

(3)  みぎ各書類中の控訴人の各住所氏名は各書類中の他の記入部分(たとえば訴外東の住所氏名、みぎ各書類は印刷された不動文字部分の空欄に所要の記入をして完成するようになつている。)と同一筆蹟で書かれていて、訴外東が記入したものと認められること、

(4)  控訴人は昭和二八年九月頃同人所有の奈良県山辺郡に所在する宅地を他に転売し、その所有権移転登記手続をみぎ不動産所在地の近くに住む訴外東に依頼し、みぎ登記手続のために自己の実印を訴外東に交付したところ、訴外東は、みぎ印鑑を使用して委任された所有権移転登記手続を終つた後もみぎ印鑑を控訴人に返還しないで保管中、昭和二九年二月三日被控訴銀行との間に前認定の手形取引契約を締結するに際し、控訴人からみぎ契約について連帯保証人となることの承諾を受けていないにもかかわらず、みぎ印鑑を用いて控訴人の印鑑証明書の下附を受け、前記手形取引約定書の末尾に連帯保証人として控訴人の住所氏名を記入し、その名下に控訴人の印鑑を押捺し、これ(甲第一号証、同第一八号証の一)に前記印鑑証明書(甲第一八号証の三)を添えて被控訴銀行に提出し、被控訴銀行の天理支店長千秋季孝に対し控訴人がみぎ連帯保証人になることを承諾している旨を告げてみぎ支店長にその旨を信じさせ、ついで同年三月八日手形割引約定書の末尾に連帯保証人として控訴人の住所氏名を記入しその名下に控訴人の印鑑を押捺して、これ(甲第一八号証の四)を被控訴銀行に提出し、控訴人がみぎ各約定書記載のとおりに訴外東の連帯保証人になつているものと信じている被控訴銀行からみぎ手形取引契約に基づいて訴外東振出にかかる約束手形の割引の形式で金員の貸付けを受け、前認定のとおりその債務額は同年九月二一日現在で金一六〇万円となつたこと、

(5)  控訴人は昭和二九年四、五月頃訴外大同相互銀行天理支店に対する債務保証書の書換えを訴外東賢治に依頼し、前記実印を訴外山谷長雄に託して訴外東に送付したところ、同訴外人は、みぎ委任された保証書書換えを終つて後もみぎ印鑑を控訴人に返還することなく手許に保管中、被控訴銀行との間に前認定の同年五月一四日および同年九月二〇日の二回に亘る相互掛金契約を締結するに際し、控訴人からみぎ各契約について連帯保証人となることの承諾を受けていないにもかかわらず、みぎ印鑑を用いて、予め控訴人の印鑑証明書の下附を受け、前認定の各委任状にそれぞれ控訴人の氏名を記入し、その名下に控訴人の印鑑を押捺し、みぎ五月一四日の委任状(甲第四号証、同第一六号証の一)には前記印鑑証明書(甲第一六号証の二)を添付して、九月二〇日の委任状(甲第五号証同第一七号証)には印鑑証明書を添付しないで、みぎ各月日に被控訴銀行に提出し、被控訴銀行の係員に対して控訴人が連帯保証人としてみぎ相互掛金契約に基づく訴外東の被控訴銀行に対する給付金掛戻し債務の弁済に任ずることを承諾している旨を告げ、みぎ係員にその旨を信じさせ、被控訴銀行からみぎ各契約締結の日にそれぞれ前認定額の給付金(同年五月一四日には金一二万一、一〇〇円、九月二〇日には金一六六万〇、八〇〇円)の交付を受けて借受けたこと。

(二)  事実関係認定の補足。

(1)  被控訴銀行は、昭和二九年二月三日の手形取引契約の締結に必要な書類が訴外東賢治から被控訴銀行に提出された前後で、被控訴銀行がみぎ手形取引契約に基づいて訴外東に金員の貸付けをする以前に、控訴人が、訴外東と同伴して又は控訴人単独で、被控訴銀行天理支店を訪れ、同支店の支店長千秋季孝に対し、自分は訴外東の実弟で、訴外東と被控訴銀行との間の今回の手形取引契約で訴外東の連帯保証人になつている者である旨を表明したから、控訴人は被控訴銀行との間に、前認定の手形取引契約ないし二回に亘る相互掛金契約による訴外東の被控訴銀行に対する債務について、控訴人自らまたは代理人訴外東を通じて、連帯保証契約を締結したものであると主張し、原、当審証人千秋季孝、原審証人中野修の各証言中にはみぎ被控訴銀行の主張に副う供述部分があり、また成立に争いがない甲第一一、(別件における千秋季孝の証人尋問調書)第一三(同中野修の証人尋問調書)第一四(同加地周逸の証人尋問調書)第一五(同千秋季孝の証人尋問調書)号証中にも同様の供述の記載があるけれども、前認定の事実関係およびみぎ認定に用いた各証拠と比較してみぎ供述部分および供述の記載は措信し難く、そのほかにには被控訴銀行のみぎ主張を証明するに足る証拠はない。よつて、控訴人は被控訴銀行との間に、前認定の各契約に基づく訴外東賢賢の被控訴銀行に対する債務について、自ら連帯保証契約を締結したことも、また訴外東を代理人として連帯保証契約を締結したこともないと云わねばならない。

(2)  被控訴銀行は、訴外東賢治が控訴人の代理人であると称して被控訴銀行との間に本件各連帯保証契約を締結した当時、訴外東は控訴人を代理して取引をするなんらかの代理権をもつていたから、みぎ連帯保証契約の締結については民法一一〇条の適用がある旨主張しているが、訴外東が各契約当時具体的に控訴人を代理して取引するどのような権限をもつていたかについてはなんらの主張も立証もしていない。もつともこの点につき、控訴人から訴外東の控訴人を代理する権限につき具体的な主張があり、このような主張がある以上、これを被控訴銀行の利益に援用することを妨げぬものであるが、みぎ代理権限はいずれも一回限りで消滅する性質のものなること、後に説明するとおりであり、各契約当時有した代理権だとすることのできないものである。

(3)  控訴人は、訴外東賢治と被控訴銀行との間には、訴外東が被控訴銀行から金員を借り受けるについては訴外東は書類の形式上は二人の連帯保証人を立てることを必要とするが、それは書類の形式上だけのことで、実質上の面では訴外東の被控訴銀行に対する功績に免じて連帯保証人を立てることを必要としない旨の特約があつたから、たとえ訴外東と被控訴銀行間の前認定の各契約の書類上で控訴人が訴外東の連帯保証人である旨表示されていても、実質的な法律関係の面では控訴人は訴外東の被控訴銀行に対する前認定の各債務について連帯保証責任を負わない旨主張し、原審における東賢治に対する被告本人尋問の結果中にみぎ控訴人の主張に副う供述部分があるけれども、みぎ供述部分は常識上措信し難く、そのほかにはみぎ主張を証明するに足る証拠はない。

(4)  以上認定の事実関係を総合すると、本件の事案は、訴外東賢治は、同訴外人と被控訴銀行との間の前認定の手形取引契約および各相互掛金契約の締結に先立つて、控訴人から控訴人と第三者との間の特定の法律行為について一回の代理行為をしただけで消滅する性質の代理権(すなわち、昭和二九年二月三日の手形取引契約締結前には第三者との間の宅地売買による所有権移転登記手続をする代理権、同年五月一四日および同年九月二〇日の各相互掛金契約締結前には第三者との間の債務保証契約書の書換え手続をする代理権)を付与され、その都度みぎ各代理行為をするに必要な控訴人の実印を寄託されたところ、いずれの場合も委任された各代理行為を済まして既に代理権が消滅したにもかかわらず、代理権消滅後も控訴人の実印を返還することなく保管しているのをもつけの幸いとして、その都度、被控訴銀行に対して控訴人が訴外東の被控訴銀行に対する債務を連帯保証することを承諾し自分をみぎ連帯保証契約を締結するに付いての代理人に選任した旨詐わり、前記控訴人の実印を使用して作成偽造した控訴人が訴外東の連帯保証人である旨表示のある前記手形取引約定書(甲第一号証、同第一八号証の一)、相互掛金契約による債務弁済契約についての公正証書作成委任状(甲第四号証同第一六号証の一および甲第五号証第一七号証)等の書類を控訴人の印鑑証明書と共に被控訴銀行に提出し、被控訴銀行をして訴外東が真実に控訴人を代理してこれら契約を締結する権限があるものと誤信させ、控訴人と被控訴銀行との間の前記連帯保証契約を締結したのであつて、訴外東のみぎ契約締結行為は、かつて代理人であつた者が代理権消滅後に前にもつていた代理権の範囲を越える行為をした場合に当ると云うことができる。

(三)  みぎ事実関係に付いての法律上の判断。

(1)  かつて代理人であつた者が代理権消滅後に前にもつていた代理権の範囲を越える行為をした場合には民法一一〇条は適用されない旨の判例(控訴人の援用する大正七年六月一三日大審院判決民録一二六三頁)は、その後の大審院聯合部判決(昭和一九年一二月二二日大審院聯合部判決(昭和一九年一二月二二日大審院聯合部判決民集六二六頁)によつて、みぎのような場合においても、みぎ表見代理行為の相手方に民法一一〇条所定の要件と一一二条所定の要件とが共に具備するとき(すなわち、相手方が代理権の消滅について善意無過失で且つ自称代理人の行為につきその権限があると信ずべき正当の理由を有するとき)は、当該自称代理人と相手方との間になした行為につき本人にその責を負わせるのを相当とすることに改められ、最高裁判所もみぎ理論を踏襲する判決(昭和三二年一一月二九日最高裁判決民集一九九四頁、昭和三五年一二月二七日最高裁判決民集三二三四頁)をしていることは、被控訴銀行の主張するとおりである。(但し、みぎ最高裁判所の二判決は、ともに、このような場合について代理行為の効果が本人に及ぶためには、相手方が、代理行為のあつた当時、自称代理人がかつて代理権をもつていたことを知つていることを必要とする点を強調していない。しかしながら、みぎ二判決は、いずれも、相手方と自称代理人との間の従来の交渉経過の上から、相手方において自称代理人がかつて代理権をもつていたことを知つていたが事実審の判決中で明瞭に認定されている事案に対するものである。したがつてみぎ二判決は、民法一一二条の表見代理の成立には相手方にみぎ主観的要件((すなわち、自称代理人がかつて代理権を持つていたことを相手方において知つていること))が具備していることを必要とするとした従来の判例を変更したものと解することはできない。前記昭和三五年の最高裁判決中にいわゆる「民法一一条の規定は、代理人の行為がその代理権ある事項と関係あると否とに拘らず適用あるものと解され、民法一一〇条と一一二条が競合する場合もまた同様と解される。」とは、自称代理人の代理行為とその代理権消滅前にもつていた代理権の範囲に属する事項との間の客観的関係について説明したものであつて、このような場合に自称代理人の代理行為の効果が本人に及ぶためには相手方に前記主観的要件((すなわち、代理行為のあつた当時、自称代理人がかつて代理権を持つていたことを相手方において知つていること))の具備を必要としない趣旨ではないと解せられる。)

(2)  前認定の事実関係によれば、訴外東賢治は本件各連帯保証契約を締結した時より以前に控訴人の代理人としての被控訴銀行との間に取引をしたことが一度もなかつたから、別段の証明がなければ、被控訴銀行はみぎ連帯保証契約締結当時訴外東が過去において控訴人を代理する権限をもつていたことを知らなかつたものと認めるべきところ、訴外東が過去において控訴人の代理人として控訴人のために取引したことがあつたことを被控訴銀行が知つていたと認むるに足る特別な事情の存在については、(被控訴銀行は、控訴人自身が第一回目の連帯保証契約締結後に被控訴銀行天理支店を訪れ、被控訴銀行係員に訴外東にこのような代理権を与えた趣旨の告知をしたと主張するが証拠上、みぎ主張事実は認め難いことは既に述べたとおりである。)被控訴銀行の全立証によつてもこれを認定するに足りない。

既に述べたように、民法第一一〇条所定の表見代理と同法第一一二条所定の表見代理とが競合する場合に、自称代理人の代理行為の効果が本人に及ぶためには、みぎ民法の両法条所定の要件が共に具備していることを要するところ、民法一一二条所定の表見代理が成立するためには、相手方は自称代理人が過去において本人を代理する権限をもつていたことがあることを知つていて、しかも、みぎ代理権が消滅した後においても、みぎ自称代理人が過去にもつていた代理権を取引当時にもなおもち続けているものと信じていることを要するのであつて、たとえ客観的には自称代理人が過去において本人を代理して当該法律行為をする権限をもつていたことがあり、且つ相手方がみぎ代理権消滅後の取引当時に自称代理人は本人を代理してその法律行為をする権限があるものと信じていても、相手方において自称代理人が過去においてみぎ代理権をもつていたことを知つていた事実がないときには、相手方は民法一一二条による保護を受けられないと解せられ(昭和八年一一月二二日大審院判決民集二七五六頁)るから、民法一一〇条と一一二条が競合する場合もまた同様と解するが相当である(同旨東京高判昭二九・二・二六民集七・一・二八、大阪高判昭三四・一〇・三〇金融法務二六一号二七頁参照)。したがつて前述のように、被控訴銀行に民法一一二条所定のみぎ主観的要件が具備していることが認められない本件の場合には、被控訴銀行と控訴人の自称代理人である訴外東との間に締結された前記各連帯保証契約について民法一一〇条および同一一二条所定のその他の要件が具備しているかどうかについて判断するまでもなく、被控訴銀行はこれら法条による保護を受けられないわけである。

(3)  被控訴銀行は、訴外東賢治と控訴人とは実兄弟の関係にあることを強調するが、原則として夫婦とその扶養する子を単位とする現代日本の家族構成下では、兄弟が同一世帯に属し且つ共同して同一の事業を経営している場合等特別に密接な関係にある場合は別として、単に兄弟関係があると云うだけでは、代理権の授与がなくても兄弟は取引について互に代理し代理される関係にあると云うことはできない。まして本件の場合には、前認定のように、控訴人は他家に養子に行つて訴外東とは別個独立の生活を営んでいるのであるから、訴外東と控訴人が実兄弟であることは、他に別段の証明が附加せられなければ、前記各連帯保証契約締結当時訴外東が控訴人を代理して取引するなんらかの代理権をもつていたこと、または、被控訴銀行において訴外東が過去において控訴人を代理するなんらかの権限をもつていたことを知つていたことを証明するに足る事実とはなし難い。

(4)  以上判断したように、被控訴銀行と控訴人との間の前記各連帯保証契約は、いずれも、控訴人自身または控訴人の代理人が締結したものでなく、控訴人の代理人と自称する訴外東賢治が代理権なしで締結したものであるところ、同訴外人のみぎ各契約締結行為は、いずれも、単純な民法一一〇条所定の表見代理成立の要件も同条と同法一一二条との競合した表見代理成立の要件も具備していないから、控訴人は被控訴銀行に対してみぎ各契約による債務の連帯保証責任を負わない。

三無権代理行為の追認に関して。

〈以下省略〉(宅間達彦 長瀬清澄 古崎慶長)

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